2011年9月22日木曜日

観光の心情。

前の記事で紹介したどーぶつえんのイベント、
北海道の生物多様性を地域活性化に活かす ~円山動物園プロジェクト
連続講演会 第3回
「知床の野生生物 ~観光資源化の現状と課題~」

に行ってきました。

タイトルはオカタイんだけど、
進行役の酪農大吉田センセも、講師の知床財団石名坂さんも
お話のオモシロイ方たちなので引き込まれましたよ。
シレトコは、特急車内誌 JR Hokkaido の連載イキモノートの8月号で
羅臼(半島の右側)を取材したばかりだったので
自分の中でも旬だったのです。


ぜひ聞きたかったのがヒトと野生生物との距離感のハナシ。
なんせ、ヒトとヒグマとエゾシカの行動範囲が重なっている
地域の代表みたいな場所ですから。

じっさい、ワタシも羅臼で市街地にいるのに
クマの生息地にいるような気分を味わいました。やんわりと、だけど。

知床が世界自然遺産に選ばれたのは
手つかずとも言える生物多様性と生態系が残されているから。
が、
エゾシカの増加でその多様性が危うくなったり、
ヒトのマナーの悪さで野生動物とヒトとのバランスが
くずれかけたり。問題も見過ごせなくなっている。

知床財団はそんな知床の自然を知って、守って、伝えるための団体。
自然遺産の価値を維持するために、調査して伝え(大学との連携も)、
クマが出た!となれば出動して追い払い、
出た!ってならないような日々のパトロールもする
国立公園のレンジャー的存在。
骨格標本それぞれのエピソードも見応えがある
羅臼のビジターセンター。
シアターで見られる特別映像は必見ですぞ。 
イキモノの重さを体感できる超リアルぬいぐるみ。ほ、ほしい。
レンジャーたちは出動だけじゃなく、伝える仕事もたくさんしています。
ヒグマの着ぐるみだって着るのだ!
そんな仕事を通じて直面しているヒト(特に観光客)と野生動物との
距離感から生じる問題、なんとなくは想像がつきました。

訪れたヒトが残すゴミ、釣り人が残すゴミ、BBQが残すもの、
キタキツネへの餌付け、ヒグマへの餌付け(!!)、
見たい欲、撮りたい欲からの接近…

これぜーんぶ、
たとえ自分がセーフでも、それに続いたヒト、その次に出遭ったヒトが
大事故になる可能性があることを想像できていない行為なんですね。
いったんヒトへの距離感を縮めた野生動物には
不幸な結末が待っているし。

気持ちはわかります。
だって車でヒグマを見かけたら立ち止まりたくなるもん。
できれば写真も撮りたい。
できればアップで撮りたい。
数秒ならまだいいのかもしれない。
でも、それにつられた後続車も止まって、
中には降りるヒトも出てきたりして。
(だいたい、国道や道道でそんな行為はダメですね)

ここ20年くらい、ヒグマとの人身事故は起きてないそうです。知床で。
でも、釣り人をおどせばカラフトマスが手に入ることを
ヒグマは学習しているんだって、もう。
ええと、つまり、
こっちが欲につられていると、やばいことになるってこと。

だから、野生を垣間見るためには「知る」ことが大事。

知床五湖ではそのためにレクチャーを受けないと見学できない
場所もできました。めんどくさい?
でもこれって、ただ観光するだけより
ずっと知床に近づけるいい機会なんだと思う。

んで、
今回、想像もつかなかったハナシに衝撃を受けましたよ。
こんな写真でした。
ええと、
写真撮るタイミング逃したので記憶スケッチなんだけど。

知床観光の目玉に観光船があります。
ウトロ側からの船では海からヒグマを眺めることができたり、
羅臼側からの船では夏のマッコウクジラウォッチングができたり。
海の哺乳類たちの多様性も魅力ですからね。

んで、
ワタシがびっくりした写真に写っていたのは、
観光船を取り囲む
カラス…カモメ…じゃなく
オオワシ!
え〜〜?
ワシワシいます。
希少種なのに。

実は船から餌付けしているそう。

餌付けする、
寄ってくる、
間近でオオワシを撮れる。
てなこと。
これはオジロワシ。ワタシ以外は違いがわからんと思う絵。
これの何がいけないかというと…まあ自然のシチュエーションじゃない
こともガッカリなんだけど、その密度。
通常こんな密度で生息してないわけだから
ここに鳥インフルなどのイケナイものが紛れ込んだら…
恐怖です。
希少種の激減も心配だけど、
オオワシのような生態系ピラミッドの頂点にたつ
モーキンに何かあったら、くずれますよね。
バランスが。

てなわけで、財団からも「やめてー」とその会社に言ったそうですが
お客さんからのリクエストがあり、やめられないとのこと。
もうね、
ひゃ〜〜
です。

知床の魅力とほどよい距離で
観光する、地元もうるおう、の図。
の、ためには、
訪れるヒトのモラルがカギ。
そのためには、
「知る」ことがやっぱり大切なんでしょな。


講演会では観光客のみなさんへとして
こんなまとめがありました。
観光するなら地元でお金を使って欲しい、知ってほしいという
思いを感じ、共感しました。

◎なるべく連泊で
◎ガイド付きの少人数ツアーに参加して
◎小型観光船にも乗ってみて
◎「お客様の声」を届ける
おかしいな?と思ったら地元の観光業者や財団に届けて。

ワタシも今度はゆっくり斜里側羅臼側を楽しみに行きたい。
知床自然センターのサイトではいろんな情報を
知ることができますよ。
ヒグマに出遭わないためには?

で、彼らの活動を応援することもできます。

おまけ写真。
ヒグマ氏。

ヒグマのウンコ氏。
コートされて加工してるんだけど
気のせいかニオイを感じたわ。
良く見るとドングリを食べてるのがわかる。
ビールやジュースの味をしめたヒグマは
かわいそうなことになるんだろーな。


ヒグマのGPS。首につける。
けっこう重くて、会場で偶然会った友人中井さん
持ってもらったら、手首にぐっとチカラがこもってた。

知床財団のクマ授業で使われるツール。着ぐるみクマも歩いてた。
酪農大と動物園のコラボ講演会は次回が最終回。お題は
ちょうど気になっていた霧多布のお話とのこと。イカネバの娘。

講演会のあと、あまりに久しぶりの動物園をかけ足で。

今年はツノが立派だね。
どっちがメグムでどっちがオサム?…じゃなくて
シノブじゃなくて…(だめだ。調べた)アユミね。
どうしてずっと覚えられないんだ。

ぜんぜん逃げないマルヤマカラス。

ごぶさたの間に旧爬虫類館の建物がなくなってた。
跡地の工事中仮の塀に過去の名画が。

愛するベイビ〜たち!
大きくなってた。でもまだアドケナさは残ってるでしょ。

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